020 La reve des papillons I vol.3 Love from your Valentine :芝居用台本005  ・・・・・・・・・・・・・・

S-5 メタモーフォシス

  ■概要
主要人数:4人
時間:


■ジャンル
ボイスドラマ、中世、ハートフル、ファンタジー

■キャスト
アルマン (男、48歳、ラ・レーヴ・デ・パピヨン・執事)
マックス(男、24歳、エッフェンベルク家・長男、エグレッタ・サクラ・当主)
スヴェン (男、25歳、エグレッタ・サクラ・家令)
クリス (男、14歳、幽霊)

タイトル
時間
キャスト
セリフ・ナレーション

S-5

001

クリス

(穏やかに)
「ちょっと昔話をしようか。あるところに美しい娘がいた。名前はリーネ。百合の花のように可憐で美しい彼女は誰からも愛され幸せな日々を過ごしていた。そんな彼女の前に現れた孤独な王子・・・愛されることを知らずに育った王子に、心優しきリーネは惜しみない愛情を注いだ。そして、二人は恋に落ち、結婚の約束をした」

メタモーフォシス

002

クリス

(せつなく穏やかに)
「でも、幸せな日々は長くは続かない。王子に想いを寄せる姫が現れた。リーネと王子の仲を知った姫は、王子を手に入れるためにリーネを傷つけてしまう・・・その後、どうなったのかって?そうだね・・続きはまた今度にしよう・・」

      (ファイルを懐中時計を持ったアルマンがフロア中央に佇んでいる)
マックス、スヴェン、
アルマン、クリス

003

アルマン

(ファイルに目を落として)
「招待したお客様は皆様お見えになったようですね・・・」

 

004

アルマン

(懐中時計を開いて時間をチェックして)
「パーラー(応接間)での接客はメイド長のソニアに一任してあるし、グレート・ホールでの晩餐会の準備は家政婦のセシリアが全て仕切ってくれているはずだが・・」

TIME:

005

アルマン

(懐中時計をパチンと閉じて、眼鏡を指で持ち上げながら難しい顔で)
「問題は・・・マイケル様か・・・。はぁ・・・先程まで、サロンでお客様と談笑されていたはずなのに・・・少々、目を離した隙に、どちらへ行かれたのやら・・。晩餐会での最初の挨拶は当主であらせられるマイケル様でなくてはいけないと、あれ程申し上げておいたのに・・・」

 

006

アルマン

(軽く首を振って、ため息まじりに)
「先程までお元気でいらしたミシェル様も、どうやら体調が優れないご様子で自室に戻ってしまわれたし・・・この時期にパーティーは時期尚早でしたか・・・ふぅ・・・」

 

007

マックス

(アルマンを見つけて、珍しく慌てた様子で背後から声をかけて)
「・・っ!・・失礼!アルマン殿、ちょっとよろしいですか?」

 

008

アルマン

(振り返って、丁寧にお辞儀をして)
「これはこれは、マクシミリアン様。いかがなさいましたか?」

 

009

マックス

(取り繕うように横を向いて)
「いや・・・大したことはではないのですが・・・お訊ねしたいことがあって・・」

 

010

アルマン

(一瞬不思議そうな顔をして、すぐに丁寧にお辞儀をして)
「はて・・わたくしにお答えできることでしたら、何なりと・・」

 

011

マックス

(言い淀んで、すぐに顔を上げて)
「リーネ・・・いえ、こちらのハウエル家は、ルーデンドルフ伯爵家と何かご関係がおありですか?」

 

012

アルマン

(眉をひそめて考え込むように)
「ルーデンドルフ伯爵家・・ですか?名家でございますから、お名前は存じておりますが・・特に当家の方々が親しくおつきあいさせていただいているということはございません」

 

013

マックス

(ちょっと落胆したように)
「・・はぁ・・・そうですか・・・」

 

014

アルマン

(思い出すように)
「数年前に行われた葬儀の際に一度お屋敷を訪れたことはございますが・・・」

 

015

マックス

(眉をひそめて)
「・・葬儀・・?」

 

016

アルマン

(思い出すように)
「ええ・・・ルーデンドルフ伯のご息女が身罷られた際の・・」

 

017

マックス

(驚いたように目を見開いて激しく)
「リーネが・・・亡くなったんですか!?何故・・っ!?」

 

018

アルマン

(思い出したように、最後は言い淀んで)
「ああ・・・そうでした。ご息女のお名前は、リーネ・ドミニク・ルーデンドルフ様でしたね。・・・長いこと病に臥せっておいでだったとか・・・しかし・・・」

 

019

マックス

(驚いたまま、訝しげに)
「しかし?」

 

020

アルマン

(穏やかに微笑んで)
「いえ・・・わたくしの考えすぎかもしれません」

 

021

マックス

(厳しい口調で)
「何ですか?教えて下さい!」

 

022

アルマン

(マックスの様子に圧倒されて、静々と)
「いや・・・臥せっておいでだったことは存じておりましたが・・・わたくしが聞いていたのは、病でではなく、ひどい怪我を負ったせいだと・・・」

 

023

マックス

(何かを思い出すように胸に手をあてて)
「・・・っ・・!!」

 

024

アルマン

(マックスを見つめて真剣な口調で)
「それなのに、何故か、ご家族の皆様は口を揃えて病だったとおっしゃる・・・」

 

025

マックス

(胸にあてた手を握りしめて俯いて)
「・・・っ・・」

 

026

アルマン

(マックスを見つめて真剣な口調で)
「しかも・・・ご葬儀の際も、御棺にリーネ様のご遺体はございませんでした。伝染性の病だったため、ご遺体は葬儀の前に荼毘に伏されたとか・・・」

 

027

マックス

(目を閉じて苦しそうに)
「・・・っ・・!」

 

028

アルマン

(マックスを見つめて真剣な口調で、後半は穏やかに)
「伝染性の病だったとおっしゃるなら、何故、リーネ様は別宅ではなく、本宅のお屋敷で療養されていらっしゃったのか・・・まあ・・お亡くなりになるまでの数年間、誰も、そのお姿を拝見しておりませんので、真相の程はわかりませんが・・・」

 

029

マックス

(落胆した様子でつぶやいて)
「・・・リーネが・・・そうですか・・・」

 

030

アルマン

(軽く苦笑して、穏やかに)
「まあ・・あまり他人様のご家庭の事情について、わたくしのようなものが、とやかく申し上げるものではございませんね。失礼致しました。どうぞ、年寄りの戯言とお忘れ下さい」

 

031

マックス

(俯いたまま、呟いて)
「・・・リーネが・・・」

 

032

アルマン

(丁寧に頭を下げて)
「それより・・・マクシミリアン様、この度の当家に対するご配慮、心より御礼申し上げます」

 

033

マックス

(ボーッとした様子で、気づいたように)
「・・・え?・・・あ、いや・・」

 

034

アルマン

(目を伏せて穏やかに)
「貴方様のことですから、事情はすでにご承知の事かと存じますが・・・ミシェル様のこと・・大変感謝しております」

 

035

マックス

(ちょっと困った様子で)
「私は何も・・」

 

036

アルマン

(しっかりとマックスを見つめて)
「ただ・・・失礼を承知で、一言よろしいでしょうか?これから申し上げますことは、当家の執事としてではなく、ミシェル様の後見人の言葉としてお聞きいただきたい」

 

037

マックス

(アルマンをしっかりと見て)
「はい・・」

 

038

アルマン

(マックスに背を向けて遠くを見つめてせつなく)
「わたくしは、ミシェル様のことも、マイケル様のことも、お二人が生まれた時から存じ上げております。親友のロバートが・・・お二人の両親が事故でこの世を去った時、強く心に誓ったのです。これから先、必ず、お二人をお守りすると・・・・それなのに・・・わたくしには、ミシェル様のほんのささやかな幸せすら、お守りすることができなかった・・・」

 

039

マックス

(頷きながら)
「はい・・」

 

040

アルマン

(振り返って、しっかりとマックスを見つめたまま、厳しく)
「今回のことで、ミシェル様は十分過ぎる程傷つきました。ですから、もし中途半端なお気持ちでミシェル様に近づいておられるのなら、即刻、おやめいただきたい」

 

041

マックス

(困惑した様子で)
「そんな・・・私は・・・!」

 

042

アルマン

(一瞬目を伏せて、後半はしっかりとマックスを見つめ強い口調で)
「本気なら、それでよろしいのです。ただ、別の目的でミシェル様を利用されようとしているのでしたら・・・貴方と刺し違えてでも、お止め致します。わたくしには、その覚悟があるということを心に留めておいていただきたい」

 

043

マックス

(俯いて)
「はい・・・」

 

044

スヴェン

(マックスの姿を見つけ声をかけ、アルマンに気づいてお辞儀をして)
「マックス様・・・!」

 

045

アルマン

(丁寧に頭を下げ、穏やかな口調で告げ、立ち去る)
「それでは、わたくしは次の仕事がございますので、御前を失礼致します」

 

046

マックス

(スヴェンを振り返って、無気力に返事をして)
「ああ・・・スヴェン・・」

 

047

スヴェン

(マックスを責めるように強い口調で)
「今のお二人のやり取りは・・・!一体、どういことですか!?」

 

048

マックス

(スヴェンを軽く睨んで)
「フッ・・・立ち聞きしていたのか?」

 

049

スヴェン

(しっかりと)
「たまたま通りがかったら、お二人の話す声が聞こえてきただけです。それより・・!!」

 

050

マックス

(気だるげに言い捨てて)
「些末なことだ・・気にするな」

 

051

スヴェン

(眉をひそめて厳しい口調で)
「些末なこと?刺し違えてでも貴方を止めると言った、アルマン殿の言葉のどこが些末なことだというのですか!?」

 

052

マックス

(スヴェンを睨んで厳しく)
「おまえには関係のないことだ!」

 

053

スヴェン

(愕然とした様子で、マックスの腕を掴んで)
「マックス様!どうなされたのですか!?こちらのお屋敷を訪れて以来・・・いや・・ミシェル様と手紙のやり取りを始められた頃から、どこか様子がおかしい・・・」

 

054

マックス

(スヴェンの腕を振り払って怒った口調で)
「関係ないと言っているだろう!?」

 

055

スヴェン

(マックスの前に立ちはだかるようにして激しく、後半は目を伏せて)
「何を考えていらっしゃるのですか!?貴方はこんなところで立ち止まっていて、いい人ではない!わかっておられるのでしょう!?今、本当に大事な事は何なのか!思い出して下さい!!貴方が大切にしなくてはいけないものは何なのか!・・・・フ・・・・・あの方の生き写しのようなミシェル様に近づいたことは、ただの酔狂と、これまでは目を瞑って参りましたが、こうなっては・・・っ!!」

 

056

マックス

(スヴェンに詰め寄り厳しい口調で)
「こうなっては、どうだというんだ!?私を力尽くで止めるというのか!?それとも、邪魔な彼女を消すとでもいうのか!?」

 

057

スヴェン

(目を伏せて言いにくそうに)
「そこまでは・・・しかし、場合によっては・・・」

 

058

マックス

(怒鳴って)
「ふざけるな!!いいか、スヴェン!彼女に少しでも手を出してみろ!!望み通り、私がおまえを殺してやる・・・っ!!」

 

059

スヴェン

(顔を上げてしっかりと)
「マックス様・・・っ!!」

 

060

マックス

(厳しく言い放って、立ち去ろうとして)
「話はこれで終わりだ!」

 

061

スヴェン

(マックスの腕を掴んで、バランスを崩すマックスを支えようとして)
「お待ち下さい、マックス様・・・っ!!・・・・っ!!危ない・・・っ!!」

 

062

マックス

(バランスを崩して、ソファに押し倒される格好になり、痛そうに顔をしかめて)
「・・・っ!!」

 

063

スヴェン

(マックスを押し倒す形で驚いたように)
「申し訳ございません!お怪我はありませんか!?」

 

064

マックス

(スヴェンの両腕を掴んで睨みつけたまま、口元だけで嘲笑して)
「・・・フッ・・・あの時と一緒だな、スヴェン!・・・どうする?おまえの意のままにならない私を、昔のように力で捻じ伏せて、言うことをきかせるのか?それとも、縛り付けて、クローゼットに閉じ込めるのか!?」

 

065

スヴェン

(顔を背けて吐き出すように)
「そんなことは・・・っ!!・・・お離しください・・!」

 

066

マックス

(嘲笑したまま)
「ただ泣くことしかできなかった、あの頃の私とは違う・・・身も心も随分と穢れてしまったからな・・・今なら、おまえに抱かれてやってもいいぞ、スヴェン・・・フ・・・義父がおまえにしたように、私を傷つけるといい・・・おまえが望むなら、こんな身体、いつでもくれてやる!!」

 

067

スヴェン

(苦しそうに訴えて)
「おやめください、マックス様・・っ!!私は・・・っ!!」

 

068

マックス

(真剣な表情で厳しく)
「その代わりこれだけは覚えておけ!私の大切なものをこれ以上奪ったら、それが、たとえおまえであっても断じて許さない!」

 

069

スヴェン

(マックスの手を振り払って起き上がって、マックスに背中を向けて)
「違う・・・っ!!私はただ・・・っ!!」

 

070

マックス

(上体を起こしながら)
「フ・・・つまらないな・・・これで終わりか?」

 

071

スヴェン

(振り返って訴えるように)
「私はただ、貴方のことが・・っ!!」

 

072

マックス

(両膝に肘を乗せて手を組んで静かに)
「リーネが死んだ・・・」

 

073

スヴェン

(愕然とした表情で一歩後ずさって)
「・・・っ・・!何故・・・その事を・・・っ・・・!」

 

074

マックス

(あきらめたように軽く笑って)
「フ・・・やはり知っていたか・・・」

 

075

スヴェン

(顔を背けて、目を閉じて辛そうに)
「・・・っ・・」

 

076

マックス

(スヴェンをじっと見つめて確かめるように)
「死因は伝染性の病を患って・・・ときいたが・・・違うな?」

 

077

スヴェン

(唇を噛み締めて、思いつめたように、後半は諦めて喋りだして、最後は顔を上げてマックスを見て)
「・・・っ・・!・・・・リーネ様は・・・あの一件以来、屋敷の奥で、世間から隠れるようにひっそりと暮らしておいでだったとか・・・そのうちに、精神を患って、三年程前に、とうとう、ご自害を・・・。・・・この事は、何度も申し上げようと思ったのですが・・・っ!!」

 

078

マックス

(颯爽と立ち上がって、冷たく)
「それ以上、何も言うな」

 

079

スヴェン

(立ち去ろうとするマックスの背中に向かって訴えるように)
「マックス様!!貴方には・・・!貴方には、シャルロッテ様が・・・っ!!」

 

080

マックス

(背中を向けたまま厳しく)
「わかっている!」

 

081

スヴェン

(マックスを追うように)
「でしたら・・っ!!」

 

082

マックス

(背中を向けたまま首だけ横を向いて、せつなく)
「スヴェン・・・・本当にこれが最善なのか?・・我々が歩むこの道に・・・この苦しみにいつか終わりは来るのか?・・・一体・・・どれだけ多くの血が流れれば・・・っ・・!」

 

083

スヴェン

(茫然とマックスを見送って)
「マックス様・・・っ・・・」

 

084

スヴェン

(上を向いて片手で顔を覆ってせつなく吐き出すように)
「ああ・・・っ・・・神よ・・・っ!どうか・・・っ・・・あの方を・・お守り下さい・・・っ!これ以上、あの方が苦しまぬよう・・・全ての天罰は・・・この罪深き我が身に下りますよう・・・あの方は何も・・・っ・・・全てこの私が・・・・あの方を・・・っ・・・・!だから・・どうか、この命と引き換えに・・・、どうか・・っ・・!!」

 
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