023 Ludlow Castle II vol.1 - The freedom one ever has :芝居用台本002  ・・・・・・・・・・・・・・

S-2 It's My Party

  ■概要
主要人数:4人
時間:


■ジャンル
ボイスドラマ、中世、ハートフル、ファンタジー

■キャスト
イザベル (女、15歳、ハウエル伯爵家・二女)
ガスパール (男、26歳、ヴェルニエ伯爵家・長男)
アルマン (男、23歳、スペンサー家・二男)
マーガレット (女、17歳、ハウエル伯爵家・長女)

タイトル
時間
キャスト
セリフ・ナレーション
S-2     (テラスの椅子に足を組んで座り、優雅に紅茶を飲みながら本を読んでいるアルマン)
It's My Party

001

ガスパール (ちょっと焦った様子でキョロキョロしながら登場して、アルマンの存在に気づいて、ゆったりとした動きに変えて)
「や、やあ、アルマン」

 

002

アルマン

(驚いたように顔をあげ、軽く微笑んで)
「え?・・・フ・・ヴェルニエ先輩。どうかしましたか?」

イザベル、ガスパール、
アルマン、

003

ガスパール (ちょっと困ったように言い淀んで)
「ああ・・・いや・・・その・・」
 

004

アルマン

(軽く眉をひそめて)
「ん?何か?」

TIME:

005

ガスパール (軽くため息をついて、覚悟を決めたように優しく微笑んで)
「はぁ・・・フッ・・・いや、イザベルを見なかったかい?」
 

006

アルマン

(本を閉じて)
「イザベルですか?いや・・・私は見ていませんが・・多分、こちらには来ていないのでは・・・確か、ホールでお客様のお相手をしていたような・・・」

 

007

ガスパール (ちょっと落胆した様子で向かい側の椅子に腰をおろしながら)
「そうか・・・」
 

008

アルマン

(組んでた足を降ろして)
「何か、あったんですか?」

 

009

ガスパール (苦笑して恥ずかしそうに)
「いや・・・たいしたことじゃないんだが・・・実は、彼女の機嫌を損ねてしまってね・・・」
 

010

アルマン

(軽く笑って)
「ああ・・・なるほど・・・」

 

011

ガスパール (肩をすくめて)
「手土産に彼女のドレスとお揃いの薔薇で作ったコサージュを贈ったんだが、どうやら気に食わなかったみたいで・・」
 

012

アルマン

(ちょっと驚いたように)
「え?コサージュが気に入らなかったんですか?それは手厳しいなぁ・・」

 

013

ガスパール (苦笑して)
「違うんだよ。イザベルだけに贈って、マーガレットに贈らないのは失礼だと思ったんだ。だから・・」
 

014

アルマン

(納得した様子で)
「ははぁ・・・それで先輩はマーガレットにも同じものをプレゼントしたんですね?」

 

015

ガスパール (軽く頭を掻いて)
「いや、まさか、そんなことで怒ると思わなかったんだよ」
 

016

アルマン

(口元に手をあて、控えめに笑って)
「ククク・・・・」

 

017

ガスパール (情けなく顔をしかめて)
「やっぱり、マズかったかな・・?」
 

018

アルマン

(笑いを堪えながら丁寧に)
「クク・・・あ、いや、すみません、笑ったりして・・・何だか、先輩らしいような、らしくないようなエピソードだな・・と思って、つい・・」

 

019

ガスパール (肩を落として、テーブルに頬杖をついて)
「はぁ・・・私は彼女を怒らせてばかりだ・・・」
 

020

アルマン

(優しく微笑んで)
「周囲への気遣いは素晴らしいと思います。そういう先輩の細やかなところは尊敬に値します」

 

021

ガスパール

(溜息まじりにうつむきながら)
「でも、イザベルには逆効果だった・・・はぁ・・・」

 

022

アルマン

(笑いながら)
「フフ・・・何か、意外だな」

 

023

ガスパール

(顔を上げて)
「え?」

 

024

アルマン

(楽しそうに)
「だって、昔から先輩は引く手数多だったし、色々な女性との噂も絶えなかったじゃないですか。社交界のパーティーでだって、随分、色んな女性に言い寄られているって聞きましたよ」

 

025

ガスパール

(照れたように笑った後、にっこり微笑んで)
「ああ、あれは・・・君たち三人に比べれば大したことないよ」

 

026

アルマン

(笑いながら)
「いやいや。そんな、恋愛のエキスパートのような先輩が、相手がイザベルになった途端に恋愛初心者みたいなこと言いだして・・」

 

027

ガスパール

(苦笑して)
「やっぱり変かい?」

 

028

アルマン

(穏やかに)
「フフ・・・そんな先輩も好きですけどね」

 

029

ガスパール

(背もたれにもたれながら、膝を組んで)
「そうだな・・・確かに、奥手だったわけではないし、それなりに色々な女性ともおつきあいしてきた・・・まあ、私の年齢では、それが普通だろう?」

 

030

アルマン

(丁寧に返事して)
「ええ」

 

031

ガスパール

(遠くを見つめて穏やかに)
「だけど彼女は・・・イザベルは・・・特別なんだよ。どこがどう特別なのかは、口ではうまく説明できないんだが・・・今までつきあってきた、どの女性とも違う」

 

032

アルマン

(なるほどというように)
「ふむ・・」

 

033

ガスパール

(照れ臭そうに笑って)
「笑われてしまうかもしれないが・・・この私が珍しく本気なんだよ。彼女の言葉で言えば・・・運命の相手にめぐりあえたってところか・・・」

 

034

アルマン

(穏やかに)
「笑ったりなんかしませんよ」

 

035

ガスパール

(アルマンを見つめて苦笑して)
「11歳も離れているのに、全く年下だという気がしない。むしろ、私の方が未熟で、つい彼女を怒らせてしまう。しかも、何故、彼女が怒るのか見当もつかないんだ。そうしているうちに、いてもたってもいられなくなって・・・つい自分から謝ってしまう」

 

036

アルマン

(軽く笑って)
「フ・・・」

 

037

ガスパール

(目を伏せて)
「そうしたら、また彼女が怒りだすんだ。何故、謝っているのか?って。何で、理由もわからずに謝ったりするんだ?って。そう言われてしまうと、私は何も言えなくなってしまう」

 

038

アルマン

(優しく微笑んで)
「きちんと、向き合えばいいんじゃないですか?」

 

039

ガスパール

(驚いたように顔を上げて)
「え?」

 

040

アルマン

(丁寧に説明するように)
「彼女が何故怒っているのかわからなかったら、何故怒っているのかその理由を聞けばいい。それでも言ってくれなかったら、その直前の言動を思い返して、何故、自分がそんなことをしたのか、どういう思惑だったのか、伝えてあげればいい。そして、つい謝ってしまうのは全てをあやふやにしたいからではなくて、彼女が傍にいない時間が耐えられないからだと教えてあげればいいんです」

 

041

ガスパール

(ポカンとした顔で)
「そっか・・・いや・・さすがだな、アルマン。恐れ入ったよ」

 

042

アルマン

(慌てて頭を下げて)
「あ・・何だか、偉そうなこと言ってしまって、すみません」

 

043

ガスパール

(優しく微笑んで)
「ありがとう。参考にさせていただくよ」

 

044

アルマン

(恐縮したように目を伏せて、すぐに軽く笑いだして)
「いえ・・・フフ・・・それにしても、まさか、先輩がそこまでイザベルに入れ込むとは・・・」

 

045

ガスパール

(真摯な瞳で胸に手をあてて)
「自分でも不思議だよ。正直、自分の感情を持て余してる。本当は今すぐにでも彼女と結婚して、一緒に暮らしたいと思ってる。傍にいないと、不安で仕方がないんだ・・・。いつか、私の元からいなくなってしまうんではないかって・・・美しい羽を広げて、飛び立ってしまうんではないかって・・・でも、彼女の年齢を考えると、そういうわけにもいかなくて・・」

 

046

アルマン

(笑いながら、恭しく頭を下げて)
「いやはや・・・ごちそうさまです」

 

047

ガスパール

(照れ臭そうに頭を掻いて)
「ハハ・・・参ったな・・・。さて、そろそろイザベルを探すとしよう。あんまり遅いと、また怒り出すから。フフ・・・このままじゃ、将来、確実に彼女の尻に敷かれそうだな」

 

048

アルマン

(にっこり笑って)
「ですね」

 

049

ガスパール

(軽く手をあげて立ち去って)
「じゃあ、アルマン、後ほど・・・」

 

050

アルマン

(ガスパールを見送って)
「はい」

 

051

アルマン

(ガスパールがいなくなったのを見届けてから再び本を開いて、思い出し笑いをしながら)
「フフ・・あの、いつも完璧なヴェルニエ先輩がね・・・フフフ・・・」

       
      (テラスの椅子に足を組んで座り、優雅に紅茶を飲みながら本を読んでいるアルマン。そこへ駈け込んで来るイザベルとそれを追いかけるマーガレット)
 

052

イザベル (泣きそうな顔で駆けてきて、ベッドに突っ伏して拳でベッドを叩きながら首を振り)
「大嫌い、大嫌い、大嫌い!!ガスパールのバカ!私の気持ちなんて、全然わかってない・・・っ!」
 

053

マーガレット

(イザベルを追いかけてきて)
「イザベル!待って!!」

 

054

イザベル (鋭く制止して叫ぶように)
「来ないで、マーガレット!!」
 

055

マーガレット

(ビクリと立ち止まり、テラスで立ち尽くしたまま必死に訴えるように)
「・・・っ!!あれにはきっと理由があるのよ!きちんと話せば、お兄様だって・・・っ!

 

056

イザベル (首を振って激しく)
「何も聞きたくない!放っておいてちょうだい!・・・今は一人になりたいの!!」
 

057

マーガレット

(何か言いたげに手を伸ばして、すぐに諦めたように溜息をついて)
「イザベル・・・・はぁ・・・」

 

058

アルマン

(顔を上げて座ったままマーガレットを見て)
「マーガレット?」

 

059

マーガレット

(驚いたように振り返り、気まずそうに胸に手をあて顔をそらして)
「あ・・・アルマンお兄様・・・」

 

060

アルマン

(心配そうに)
「どうかしたのかい?」

 

061

マーガレット

(俯いて)
「いえ・・・ごめんなさい・・何だか、お恥ずかしいところをお見せしてしまって・・・」

 

062

アルマン (本を閉じ、穏やかに微笑んで)
「いや・・・それより・・・大丈夫かい?」
 

063

マーガレット

(困った顔でアルマンを見て)
「ええ・・・」

 

064

アルマン (向かいの椅子をすすめて)
「よければ話をきくよ」
 

065

マーガレット

(アルマンの向かい側に腰をおろして、少し言い淀んだように)
「実は・・・先程までサロンでイザベルと一緒にピアノを弾いていたんですけれど・・・ちょうど、目の前のお席でお父様とガスパールお兄様が談笑していらして・・・」

 

066

アルマン (軽く相槌を打って)
「ふむ・・・」
 

067

マーガレット

(真面目な顔で)
「そのうちにガスパールお兄様とイザベルの話になって・・・お父様が、そろそろ、イザベルとの婚約を公にしてはどうか?と持ちかけたんです」

 

068

アルマン (軽く相槌を打って)
「ふむ・・・それで?」
 

069

マーガレット

(ちょっと言い淀んだように、最後は溜息まじりに)
「そうしたら、ガスパールお兄様が・・・イザベルとの婚約発表は待って欲しいっておっしゃって・・・それどころか・・・できれば、婚約話は一度白紙に戻したいと思っているって・・」

 

070

アルマン (ちょっと考えるように)
「なるほど・・・」
 

071

マーガレット

(困った顔で)
「ガスパールお兄様が遠慮していると思ったのか・・・お父様ったら、「そうか、気が強くて我が儘なイザベルより、気立ての良いマーガレットの方が良かったか?」なんて冗談をおっしゃったものだから・・・」

 

072

アルマン (軽く苦笑して)
「それで、イザベルは怒って飛び出してきたわけだ・・」
 

073

マーガレット

(困ったように大きな溜息をついて)
「もう、どうしたらいいのか・・・はぁ・・」

 

074

アルマン (立ち上がりながら)
「君は一度、サロンに戻った方がいいな。突然演奏をやめて出てきてしまったのなら、ゲストもさぞかし驚いているだろうし・・・」
 

075

マーガレット

(椅子から立ち上がって)
「でも・・・!」

 

076

アルマン (穏やかに)
「彼女のことは私に任せてもらえないかな?」
 

077

マーガレット

(ちょっと躊躇して、すぐに思い直したようにその場を後にして)
「・・・・ええ・・・そうですね・・イザベルのこと、お願いします」

 

078

アルマン (マーガレットを見送ってから、イザベルに歩み寄り)
「イザベル、ちょっといいかな?」
 

079

イザベル (驚いたように振り返って、すぐに首を振って)
「誰!?・・・アルマンお兄様・・・ごめんなさい、今は誰とも・・っ!」
 

080

アルマン (イザベルの言葉を遮って、穏やかに)
「事情はマーガレットからきいたよ」
 

081

イザベル (非難するようにアルマンを見て、すぐにそっぽを向いて)
「だったら・・っ!・・・もう、そっとしておいて・・・」
 

082

アルマン (穏やかに)
「何故、ヴェルニエ先輩が婚約を白紙に戻したいなんて言いだしたと思う?」
 

083

イザベル (振り返って立ち上がって、激しく)
「知らないわ!あんな自分勝手な人のこと!!ガスパールなんて大嫌いよ!」
 

084

アルマン (軽く笑いながら、立ち去ろうとして)
「そう。それなら、そうして、いつまでも意地を張っているといい。婚約解消も賢明な判断だったと言わざるを得ないな。私から先輩に君の意向を伝えておくよ。大嫌いだってね」
 

085

イザベル (アルマンを追いかけるように)
「待って・・っ!」
 

086

アルマン (振り返って軽やかに)
「まだ、何か?」
 

087

イザベル (すぐに思い直したように躊躇して)
「・・・っ!・・だって・・・だって、ガスパールが悪いのよ・・私は・・」
 

088

アルマン

(穏やかに微笑んで)
「何も悪くない?フフ・・・そっか・・」

 

089

イザベル (激しく)
「だって、そうでしょう!?私のことを心の底から愛してるって・・・運命の相手だって、そう言ったのに・・・それなのに・・・!!」
 

090

アルマン

(イザベルを見つめて厳しく)
「はっきり、言おうか、イザベル?君がそんな風に子供じみた態度をとるから先輩は婚約を白紙に戻したいと言ったんだ」

 

091

イザベル (驚愕の表情でアルマンを見つめて)
「・・・っ!」
 

092

アルマン

(厳しく問い詰めるように)
「心の底から愛していると・・・運命の相手だと・・・そう言った先輩の言葉を、どうして信じることができない?」

 

093

イザベル (せつなく訴えるように)
「・・・だって・・!だったら、何故、今更、婚約を解消したいなんて言いだすの!?愛してるなんて、口では言っておきながら、本当は私のことなんて何とも思ってなかったのよ!!私なんて、彼をとりまく女性の中の一人でしかないんだわ!!私はこんなにも彼のことを・・・」
 

094

アルマン

(目を伏せて、軽く笑って)
「先輩を愛していると勘違いしているのは君の方だよ」

 

095

イザベル (顔を上げ目を見張って、すぐに目を伏せ躊躇して、後半はアルマンをしっかり見て訴えるように)
「そんなこと・・・っ!!私は・・・私は彼のことを愛しているわ・・!!誰にも負けないくらい・・・!!」
 

096

アルマン

(軽く微笑しながら目を伏せて)
「愛している?君は『人を愛する』ということが、どういうことなのかわかっていないんだ」

 

097

イザベル (訴えるように叫んで)
「わかってるわ!!」
 

098

アルマン

(目を伏せたまま首をふって)
「わかったような気になっているだけだよ」

 

099

イザベル (訴えるように叫んで)
「そんなことない!!」
 

100

アルマン

(イザベルを追い詰めるように)
「君は先輩の何を知っているんだい?どんなことに喜び、どんなことに悲しみ・・・本当に大切にしているものは何なのか・・・何も見えていない」

 

101

イザベル (訴えるように叫んで)
「ちゃんと見えているわ!」
 

102

アルマン

(丁寧に諭すように)
「見えているなら、わかるはずだよ。君の知っている先輩は・・君が見てきた、ガスパール・ウラジミール・ヴェルニエという男は、そんなつまらないことで君を傷つけるような人なのかい?」

 

103

イザベル (俯いて涙を一筋流しながら呟くように)
「・・・わからない」
 

104

アルマン

(しっかりと)
「少なくとも、私が知っている先輩は、そんな器の小さい人間じゃない」

 

105

イザベル (泣きながら、その場に崩れ落ちるように、最後は訴えるようにせつなく)
「・・・わからないのよ・・・本当は、彼が何を考えているのか、全然わからない・・・愛してるって言葉を信じたいけれど、彼の本心が見えないの・・・いつも穏やかな笑顔で・・何を言っても許してくれて・・本当は怒って欲しくて・・叱って欲しくて・・いっぱいワガママを言って彼を困らせて・・・でも、やっぱり、彼は笑うの・・・だから、不安で・・・彼を失いたくないの・・・愛してるの・・・!」
       
 

106

アルマン

(大きな声で呼びかけるように)
「だそうですよ!聞こえましたか、先輩!そこに、いるんでしょう?」

 

107

イザベル (茫然としたように顔をあげて)
「え・・?」
 

108

ガスパール

(幕の向こうからゆっくりと現れて)
「・・・参ったな・・いつから、気づいていたんだい?」

 

109

アルマン

(にっこりと微笑んで)
「フフ・・・長いつきあいですから・・・。こんな時、来ない訳がないと思っていました」

 

110

イザベル (茫然とした様子で呟いて)
「ガスパール・・・?」
 

111

ガスパール

(イザベルの前でゆっくり膝をついて、イザベルの頬の涙を指で拭いながら)
「すまない、イザベル。君がそんな風に思ってくれているなんて、ちっとも気づかなかった・・・いい年して、情けないな・・・」

 

112

イザベル (目を伏せて軽く首を振って)
「んん・・」
 

113

ガスパール

(イザベルの前でゆっくり膝をついて、イザベルの頬の涙を指で拭いながら、しっかりと)
「婚約を解消したいと言ったのは、君の心の準備ができていないうちに、どんどん話をすすめるのが嫌だったからだ。君はまだ若い。これから色々な人々と出会い、学び、経験し、自分の価値観を養っていく。そうして、成長した君の目から見て、私が君にふさわしい男だと判断したら、その時に改めて、君にプロポーズしようと思った」

 

114

イザベル (立ち上がりながら、せつなく呟いて)
「ガスパール・・・」
 

115

ガスパール

(立ち上がりながら、照れたように笑って、後半はイザベルをまっすぐに見つめてしっかりと)
「でも、そんなことは建前で・・・本当は今すぐにでも君と一緒になりたい。世の中には私より素晴らしい男は五万といる。それでも・・・私のワガママだとわかっていても・・・誰にも君を渡したくないんだ。愛してるよ、イザベル。心から・・・」

 

116

イザベル (泣きそうな顔でガスパールに抱きついて)
「ガスパール・・・!私も・・・私もあなたがいい。あなたじゃなきゃ、ダメなの・・・他の人なんて、どうでもいい。だから・・ずっと、私の傍にいて・・・約束して・・どこにも行かないって・・・」
 

117

ガスパール

(イザベルを抱きしめて)
「約束するよ、イザベル・・」

 

118

ガスパール

(さりげなく立ち去ろうとするアルマンを呼び止めるように)
「アルマン!君に借りが一つできたな」

 

119

アルマン

(微笑みながら振り返って)
「借りだなんて、私は何も・・・それに、先輩には、それ以上にお世話になっていますから」

 

120

ガスパール

(イザベルを抱きしめたまま、首だけアルマンの方に向けてしっかりと)
「借りは借りだ。この借りは必ずいつか返す」

 

121

アルマン

(優しく笑って、立ち去ろうとして)
「ハハ・・・楽しみに待っています」

 

122

ガスパール

(穏やかに)
「・・・・ありがとう・・アルマン・・・」

 

123

アルマン

(背中を向けたまま軽く手をあげて)
「フ・・失礼します」

 

124

ガスパール

(イザベルを抱きしめたまま目を閉じて)
「結婚しよう、イザベル・・・きっと君を幸せにする・・・私の人生の全てをかけて・・・そう神に誓うよ」

 

125

イザベル (顔をあげてガスパールを見て、はっきり答えたあと、華やかに笑って顔をうずめて)
「・・・・はい・・!」
 
作品の無断使用、無断転載は禁止しており、行った場合は著作権法違反となります.
© Copyright 2021 VORTEX.