024 Egretta Sacra III prologue :芝居用台本005 ・・・・・・・・・・・・・・
S-5 Lost and Found |
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■概要 主要人数:4人 時間:7,17 ■ジャンル ボイスドラマ、中世、シリアス、ファンタジー ■キャスト ノア(男、17歳、小姓) シャルロッテ(女、18歳、マクシミリアンの妹) ヴェラ(女、23歳、侍女) スヴェン(男、25歳、家令) |
タイトル |
時間 |
キャスト |
セリフ・ナレーション |
S-5 |
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(古い写真が挟まれた日記帳を小脇に抱え登場するノア) | |
Lost and Found |
001 |
ヴェラ | (後ろからノアを呼び止めて) 「・・・ノア・・!」 |
ノア、シャルロッテ、 ヴェラ、スヴェン |
002 |
ノア | (立ち止まって振り返り、軽く微笑んで) 「ん?・・はい、何でしょうか?」 |
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003 |
ヴェラ | (嬉しそうに) 「あなたでしょう?取り込んでおいたシーツにアイロンをかけて畳んでおいてくれたのは!」 |
TIME:7,17 | 004 |
ノア | (思い出したように、後半は誠実そうに) 「え・・あぁ!・・何か不手際がございましたでしょうか?」 |
005 |
ヴェラ | (軽く首を振って) 「とんでもない!隅から隅まで、きちんとアイロンがけがしてあって、文句のつけようがない程、完璧だったわ」 |
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006 |
ノア | (爽やかに微笑んで) 「そうですか。それは、よかった。ちょうど手が空いたので、少しでもお力になれれば・・と」 |
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007 |
ヴェラ | (軽く頭を下げて) 「本当にありがとう。助かりました」 |
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008 |
ノア | (丁寧にお辞儀をして) 「いえ・・・何でもお申し付け下さい」 |
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009 |
ヴェラ | (にっこり笑って、後半は気づいたように) 「フフ・・ええ。・・・そういえば・・こんなところで、どうしたの?」 |
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010 |
ノア | (爽やかに) 「休憩をいただいたんです。ずっと地下室で作業をしていたので、ちょっと外に出てみようかと思って・・・」 |
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011 |
ヴェラ | (あっさりと、後半は嬉しそうに) 「そうなの。・・・こちらの薔薇園はとても素敵だから、一見の価値はあると思うわ。ちょっと考え事をしたい時なんかにも最適」 |
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012 |
ノア | (穏やかに) 「そうですね。薔薇園は外からしか拝見したことがないので、今日は中を覗かせてもらおうかな・・・庭師のアレクさんの作業の邪魔にならないといいのですが・・」 |
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013 |
ヴェラ | (楽しそうに笑って) 「あら、あなたなら大丈夫。・・フフ・・」 |
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014 |
ノア | (微笑んだまま軽く訊き返して) 「え?・・何故ですか?」 |
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015 |
ヴェラ | (にっこりと笑って) 「だって、あなたってば、きっと、彼女好みだもの・・・」 |
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016 |
ノア | (謙遜するように言って) 「フフ・・・だと、いいんですが・・」 |
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017 |
ヴェラ | (思い出したように) 「ああ・・・そうだわ・・・言い忘れていたことがあったわ。実は、この離れはね、限られた使用人以外、立ち入らないことになっているの。本邸からここへ続く渡り廊下があるでしょう?その先の扉には、いつもは鍵がかけられているはずなのだけれど・・誰かが、かけ忘れたのかしら?」 |
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018 |
ノア | (ちょっと驚いたように、後半はしゅんとなって) 「そうなんですか?・・・僕、知らなくて・・・申し訳ありません・・」 |
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019 |
ヴェラ | (申し訳なさそうに、後半は思いついたように) 「最初に伝えるのを忘れてしまったこちらのミスね。ごめんなさい。・・・次回から気をつけてくれればいいから。・・ああ、薔薇園に行きたいなら、こちらではなく中庭の方へ行くといいわ。そちらの方が広いし、日当たりも良いし、ゆっくりできるはず・・・」 |
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020 |
ノア | (謙遜するように言って、軽く頭を下げて) 「はい!そうさせていただきます!・・・それでは、そろそろ失礼致します」 |
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021 |
ヴェラ | (にこやかに立ち去って) 「ええ、ゆっくり休んでちょうだい」 |
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022 |
ノア | (軽く手をあげ、ヴェラを見送った後、ソファにもたれるようにして床に座り小さくため息をついて、真顔で呟いて) 「・・・・ふぅ・・・エグレッタ・・サクラ・・・か・・・」 |
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023 |
ノア | (日記帳の間から出ていた古い写真を取り出し、見つめながら) 「・・・・ようやく辿りついたよ・・・」 |
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024 |
ノア | (ゆっくりと日記帳を開き) 「・・・・12月5日・・・・今日、彼女から気になる話を聞いた。・・・・エグレッタ・サクラに眠る幻の秘薬・・・『ただのお伽噺よ』と彼女は笑ったけれど・・・・本当にお伽噺なのかしら?・・・お伽噺じゃなかったとしたら・・・?」 |
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025 |
ノア | (ゆっくりとページをめくり) 「・・・・12月12日・・・あの日以来、あの話が気になって眠れない・・・もし、本当にそんな薬が存在するのなら・・・彼を・・・救ってあげることができるかもしれない・・・なんて、所詮、夢物語でしかないのかしら・・・・雷の音が鳴り響く・・・冬の雷なんて珍しい・・・何年ぶりかしら?・・・隣りから安らかな寝息が聞こえてくる・・・私の天使・・・大丈夫・・・安心して眠りなさい・・・」 |
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026 |
ノア | (ゆっくりとページをめくり) 「・・・・12月19日・・・もう一度、エグレッタ・サクラを訪れてみよう。・・・もし見つからなかったとしても、ここでじっとしているよりはいい・・・明日起きたら彼女に手紙を書こう・・・」 |
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027 |
ノア | (ゆっくりとページをめくり) 「・・・・12月25日・・・手作りのクリスマスケーキにローストターキー。今年は去年よりも小さなクリスマスツリー。・・・ささやかだけれど、家族で過ごす素敵なクリスマス。・・・こんな日々がずっと続けばいいのに・・・彼は今頃、どんなクリスマスを過ごしているのかしら・・?どうか幸せでありますように・・・・メリークリスマス・・・聖なる夜に・・・」 |
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028 |
シャルロッテ | (ゆっくりと歩いてきて、ぼんやりと) 「・・・そこにいるのは誰・・?」 |
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029 |
ノア | (驚いたように慌てて日記帳を閉じて) 「・・・っ・・・!!」 |
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030 |
シャルロッテ | (ノアに近づいて、ゆっくりと) 「・・あなたは誰・・・?・・・何で泣いてるの・・?」 |
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031 |
ノア | (シャルロッテに言われて気付いたように頬に手をやり、流れる涙に驚いて) 「え・・?・・・僕は泣いてなんか・・・・。・・・っ・・!?」 |
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032 |
シャルロッテ | (ノアの隣りに屈んで、無感情な感じで、ノアの頬に手を伸ばして) 「どこか痛いの・・?・・・怪我をしたの・・?・・大丈夫・・?」 |
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033 |
ノア | (驚いて困惑した様子で) 「何で・・・涙なんか・・・・」 |
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034 |
シャルロッテ | (涙を指で拭って、その指をペロリと舐めて) 「フフ・・・あなた、悲しいのね・・・?悲しい涙は塩辛いんだって、何かの本で読んだわ・・・・」 |
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035 |
ノア | (右手拳で乱暴に涙を拭って、激しく反発して、その後、頭を膝の上にのせて吐き出すように) 「僕は・・悲しくなんか・・・っ!・・・悲しいわけがないんだ・・・っ!」 |
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036 |
シャルロッテ | (ノアの頭を撫でて) 「・・・寂しくなったのね・・・お家に帰りたいの・・?」 |
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037 |
ノア | (下を向いたまま首を横に振って) 「・・・帰る家なんて・・・ない・・・・」 |
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038 |
シャルロッテ | (綺麗に微笑んで、後半、首を傾げて) 「じゃあ、ずっと、ここにいるといいわ・・・。・・・あなたの名前は・・?・・・何て呼べばいいの?」 |
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039 |
ノア | (恐る恐るシャルロッテを見て、言い淀んで) 「・・・・ノア・・・」 |
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040 |
シャルロッテ | (きょとんとして) 「ノア・・・・珍しい名前ね・・・旧約聖書の『創世記』に出てくる、全ての人類の祖先だわ・・・」 |
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041 |
ノア | (俯いて) 「・・・そんな、たいした名前じゃないよ・・・」 |
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042 |
シャルロッテ | (ゆっくりとノアの頬に触れて) 「フフ・・・ノア・・・」 |
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043 |
ノア | (訝しげに顔を上げて) 「・・・そういえば・・・君は・・?」 |
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044 |
シャルロッテ | (ノアを見つめて穏やかに) 「私はシャルロッテ・・・」 |
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045 |
ノア | (ちょっと驚いて、最後は付け足したように) 「え・・?・・・君が・・・シャルロッテ・・・様・・?」 |
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046 |
シャルロッテ | (綺麗に微笑んで) 「様・・なんていらないわ。ただのシャルロッテ・・・」 |
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047 |
ノア | (戸惑ったように) 「・・・いや・・・でも・・・」 |
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048 |
シャルロッテ | (ノアをじっと見つめて、後半は悲しげに) 「お友達になりましょう、ノア。・・・ここは暗くて寂しくて・・・元いた場所を思い出してしまう・・・ひとりぼっちは、もう嫌なの・・・」 |
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049 |
ノア | (はにかんだように笑って) 「・・・うん・・・わかった・・・シャルロッテ・・・」 |
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050 |
シャルロッテ | (にっこり笑って) 「フフ・・・また遊びに来てくれる?」 |
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051 |
ノア | (残念そうに) 「・・・ごめん・・・僕はここへは来ちゃいけないと言われているんだ・・・だから、なかなか遊びに来ることができない」 |
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052 |
シャルロッテ | (首から下げていた鍵を外してノアに差し出して) 「大丈夫よ・・・秘密の鍵をあげる・・・私の部屋のバルコニーへ続く窓の鍵・・・私が降りていくことはできないけれど、あなたが登ってくることはできるはず・・・これで、いつでも会いに来られるでしょう?」 |
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053 |
ノア | (受け取ったカギを見つめて、後半はシャルロッテに微笑みかけて) 「君の部屋・・・そうだね・・・必ず遊びに行くよ・・・」 |
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054 |
シャルロッテ | (小指を出して) 「約束よ?」 |
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055 |
ノア | (シャルロッテの小指に自分の小指をからませて、しっかりと) 「うん、約束する」 |
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056 |
ヴェラ | (遠くから声だけ) 「・・・ロッテ様〜〜〜?・・・シャルロッテ様〜〜〜?・・どちらにいらっしゃいますか〜〜〜?・・」 |
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057 |
シャルロッテ | (声に反応して、ゆっくりと立ち上がり困った様子で立ち去ろうとしながら) 「いけない・・・またヴェラに叱られてしまうわ・・・私、行かなくては・・・」 |
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058 |
ノア | (シャルロッテを追いかけるように呼び止めて) 「あ・・・っ・・・シャルロッテ・・・!待って!」 |
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059 |
シャルロッテ | (ゆっくりと振り返って) 「なあに?」 |
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060 |
ノア | (穏やかに) 「僕のことは、皆には秘密にして・・」 |
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061 |
シャルロッテ | (艶やかに笑って、踊るように去りながら) 「ええ。・・・二人だけの秘密ね・・・フフ・・・またね、ノア・・。ヴェラ、私はここよ・・・」 |
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062 |
ノア | (シャルロッテを見送って、すぐに真顔になってつぶやくように) 「シャルロッテ・アヌシュカ・エッフェンベルク・・・彼女が・・・」 |
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063 |
ノア | (軽く微笑んで、楽しそうに) 「やっと・・・会えたね・・・フフ・・・」 |
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064 |
ノア | (カギを目の前でブラブラさせ、フッと笑みをもらして、物音に気づいて慌ててソファの裏に隠れる、その際に写真を落としていく) 「必ず会いにいくよ、シャルロッテ・・・約束する・・・。・・・っ!?」 |
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065 |
スヴェン | (幕前で頭を下げて入ってきて、辺りを見回しながら) 「・・・失礼致します。・・・はぁ・・・ここにもいらっしゃらないか・・・どちらへ行かれたんだ・・・?」 |
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066 |
スヴェン | (落ちていた写真に気づいて、写真を拾いながら) 「ん・・?・・・写真・・・?また、随分と古い・・・。・・・これは・・・・?」 |
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067 |
スヴェン | (写真を凝視して驚いたように) 「何故、この写真がここに・・・?・・・マックス様が持っていらしたのか・・・?・・・でも、何故、あの方がこの写真を・・・?」 |
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068 |
スヴェン | (おもむろに手紙を取り出して) 「・・・この手紙といい・・この写真といい・・・何故、今更・・・っ・・!いったい、何が・・・っ!?」 |
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069 |
スヴェン | (手紙と写真をまとめてしまって、立ち去って) 「・・・まずは、マックス様を探すことが先決だな・・・」 |
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070 |
ノア | (スヴェンが立ち去ったのを確認してから、ソファの後ろから登場して、眉をひそめ、後半は開き直ったように笑って退場して) 「・・・ふぅ・・・危なかった・・・それにしても、マズイな・・・まさか、拾われるとは・・・フ・・・まぁ、いい・・・後で取り戻せば済むこと・・・フフ・・・」 |
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