025 Egretta Sacra III vol.1 :芝居用台本001  ・・・・・・・・・・・・・・

S-1 The Gringos

  ■概要
主要人数:3人
時間:
7,47

■ジャンル
ボイスドラマ、中世、シリアス、ファンタジー

■キャスト
マックス(男、24歳、新エグレッタ・サクラ当主)
スヴェン(男、25歳、家令)
パトリック(男、25歳、ロンズデール伯爵)


タイトル
時間
キャスト
セリフ・ナレーション
S-1

 

  (何か考え事をしながらソファで佇んでいるマックス)

The Gringos

001

パトリック

(マックスを見つけ、背後から声をかけて、朗らかに)
「ああ・・・マクシミリアン殿!こちらに、
いらっしゃったのか・・」

マックス、パトリック、
スヴェン

002

マックス (ちょっとビクリとして軽やかに振り返って)
「ん・・・え?はい?」

 

003

パトリック (軽く会釈して丁寧に)
「本日は、このように素敵なパーティーにお招きいただき、ありがとう」
TIME:7,47

004

マックス (慌てて立ち上がり、つられて会釈してから、戸惑った様子で)
「あ、いえ。・・・あの・・・大変失礼ですが・・・以前、どこかでお会いしたことが・・?」
 

005

パトリック (穏やかに微笑んで、後半は気取った様子で挨拶して)
「フフ・・こうして会うのは、これが初めてかな。・・・私の名はパトリック・ジェレマイア・ロンズデール。どうぞ、よろしく」
 

006

マックス (驚いた様子で、後半は慌ててかしこまって、硬い表情で頭を下げて)
「ああ、貴方が!・・・ロンズデール子爵様とは知らず、大変、ご無礼を・・・」
 

007

パトリック (穏やかに微笑んで)
「いや・・・気にしないで欲しい。むしろ、面識もないのに、いきなりお邪魔をしてしまって、何だか申し訳なかったね」
 

008

マックス (頭を下げたまま、しっかりと)
「いいえ、とんでもございません」
 

009

パトリック (ゆっくりと歩き出して、足元を見ながら微笑んで)
「・・・エグレッタ・サクラ・・・いつか訪れてみたいと思っていたんだ。・・今回は、知人のヴェルニエ伯爵に無理を言って、お願いをしたんだが・・」
 

010

マックス (丁寧にしっかりと)
「本日は、このような辺境の地に、わざわざ足をお運びいただき、まことにありがとうございます」
 

011

パトリック (マックスを振り返って、ちょっと困ったように笑って、後半は何か言おうとしてやめて、思いついたようにソファを指して)
「フフ・・そんなに、かしこまらないで。・・私と君はどうやら年も一つしか違わないようだし・・・それに・・・あ、いや・・・。君のことは、マックスと呼んでもいいかな?私はパトリックで構わない。・・・ここ、座ってもいいかい?」
 

012

マックス (丁寧に)
「ええ、どうぞ。・・・あの、何か、お飲物でもご用意致しましょうか?」
 

013

パトリック (ソファに腰をおろしながら、やんわりと)
「いや、結構だよ、ありがとう。・・それより、少しだけ、私のお喋りにおつきあい願いたい」
 

014

マックス (一瞬戸惑って、すぐに艶やかな笑みを浮かべ、隣りに腰をおろし)
「あ・・ええ、私でよろしければ、喜んでお相手をさせていただきます」
 

015

パトリック (遠くを見つめ優雅に)
「・・・エグレッタ・サクラに咲き誇る青き薔薇は、この世のものとは思えない程、美しい・・と噂にはきいていたけれど・・・本当に見事な薔薇だった。・・・姉の言っていた通り、あれこそ、まさに奇跡だね」
 

016

マックス (穏やかに)
「お姉様が?」
 

017

パトリック (悲しそうに微笑んで)
「フフ・・・私には18歳、年の離れた姉がいるんだが・・・正確には、『いたんだ』が正しいかな。・・姉のクレアは随分前にこの世を去ってしまったから・・・」
 

018

マックス (目を伏せて)
「それは・・・」
 

019

パトリック (優しく微笑んで)
「ああ、でも、気にしないで欲しい。姉は、私が生まれてすぐに、ドランスフィールド子爵と結婚して、ロンズデール家を出ていってしまっていたから。・・・一緒に過ごした思い出なんて、実はこれっぽっちもないんだ」
 

020

マックス (穏やかに)
「・・はい」
 

021

パトリック (立ち上がって歩きながら遠くを見つめて)
「そんな姉が病気でこの世を去って・・しばらくして遺品の整理をしていたら、随分と古い日記が出てきた。・・・その日記に、ここ、エグレッタ・サクラのことが書かれていてね。・・どんな所なのか、ずっと気になっていたんだよ」
 

022

マックス (穏やかに)
「左様でしたか」
 

023

パトリック (正面を向いて丁寧に、最後はフッと力を緩めて穏やかに)
「姉は随分と青い薔薇にご執心だったようで・・・日記にもその想いが、事細かに綴られていた。・・・当時知り合いだったエグレッタ・サクラの当主にお願いをして、青い薔薇の苗木を何本か分けてもらい、それはそれは大切に世話をしていたようなのだが・・・・残念ながら一度も花をつけることなく・・・先日、残された最後の一本が枯れてしまった。・・・フ・・・やはり、あの薔薇は、このエグレッタ・サクラの特別な土壌でしか、育つことができないのだろうね・・・」
 

024

マックス (ちょっと考えるように)
「・・・フム・・特別な土壌・・ですか・・」
 

025

パトリック (マックスを振り返り、にっこりと微笑んで、最後は目を伏せて)
「そんなことより、今回は思い切って来てみてよかったよ。・・・あの奇跡の青い薔薇をこの目で見ることができたから。・・・それに・・・」
 

026

マックス (軽く眉をひそめて)
「それに?」
 

027

パトリック (前を向いてしっかりと)
「マクシミリアン・ディートリヒ・エッフェンベルク・・・こうして、君に会うことができた」
 

028

マックス (立ち上がって丁寧にお辞儀をして)
「それは光栄です」
 

029

パトリック (マックスを振り返って微笑んだまま挑戦的に)
「亡きエッフェンベルク伯爵の忘れ形見である君にね・・・」
 

030

マックス (訝しげに)
「え・・・?」
 

031

パトリック (さらりとした感じに歩き出して)
「さあ、そろそろホールに戻るとしよう。リュシアンも私を探している頃だろうし・・・」
 

032

マックス (訝しげに)
「リュシアン・・?」
 

033

パトリック (優雅に振り返って穏やかに)
「ああ・・・まだ言っていなかったね。リュシアン・フレデリック・ヴィルトール。君もよくご存じのエグレッタの若き執事は、今、我がロンズデール伯爵家に執事として仕えている。今日も一緒に連れてきているから・・・後で思い出話に花を咲かせるのもいいかもね」
 

034

マックス (口元に手をやり考えるように)
「あのリュシアンが・・・」
 

035

パトリック (にっこりと微笑んで)
「つまらない話につきあってくれてありがとう、マックス。君と話ができてよかったよ」
 

036

マックス (軽く会釈をして)
「あ・・いえ・・・」
 

037

パトリック (思い出したように口元に手をやり爽やかに)
「ああ、そういえば君には妹がいるんだったね。名前は確か・・・」
 

038

マックス (一瞬、躊躇した様子で目を伏せて)
「・・・シャルロッテのことでしょうか?」
 

039

パトリック (思い出したように爽やかに)
「そうそう!シャルロッテ殿!・・・一緒にお住まいだときいていたのだが・・・今日はどちらにいらっしゃるのかな?」
 

040

マックス (言いにくそうに目をそらして)
「・・・シャルロッテは・・・妹は・・あの、気分が優れず、自室で休んでおります」
 

041

パトリック (残念そうに軽く肩をすくめて、後半は流れるように優雅に)
「そうか・・・それは残念だな。ぜひ一度お目にかかりたいと思っていたんだ。・・・あの美しいと評判だったシェーンハルス伯爵令嬢・・・あ、いや、エッフェンベルク伯爵夫人・リーゼロッテ様に生き写しのようだとおききしたから・・・」
 

042

マックス (驚いたように顔をあげて、ちょっと動揺した様子で)
「・・・母を・・・ご存知なんですか?」
 

043

パトリック (目を伏せて穏やかに、後半はじっとマックスを見て)
「フフ・・・姉の後輩だったので・・・。そういえば、君も君の母君にそっくりだね・・・」
 

044

マックス (訝しげに)
「・・・私が母に・・ですか?」
 

045

パトリック (艶やかに微笑んで)
「相変わらず、お綺麗なんだろうね、君の母君は・・・」
 

046

マックス (戸惑った様子で)
「・・・母は随分前に他界して・・・・」
 

047

パトリック (あっさりと)
「ああ・・・それは、エッフェンベルク伯爵夫人のことだろう?私が言っているのは、君の本当の母君のこと・・・だよ。フフ・・」
 

048

マックス (訝しげに)
「・・・え・・?」
 

049

パトリック (方向転換しさらりと言って、途中しっかりと言った後、最後はスマートに退場する)
「シャルロッテ殿によろしく伝えて欲しい。・・・近い将来、必ず貴女にお目にかかれる日が来ることを、心から祈っていると・・・。フフ・・・それでは、失礼」
 

050

マックス (丁寧に会釈し、パトリックを見送った後、戸惑った様子でソファにドサリと腰をおろして)
「・・・母のことを知っている・・?いや、まさか・・・そんなこと・・・」
 

051

スヴェン (丁寧に頭を下げて、最後はマックスの様子に気づいて)
「失礼致します。・・・マックス様、ご招待したお客様が全てお見えになりました。そろそろ、乾杯のご挨拶を・・・マックス様?」
 

052

マックス (スヴェンの言葉に気づかず考え込むように呟いて)
「ロンズデール・・・確か、遠い昔にどこかで聞いた覚えが・・・」
 

053

スヴェン (マックスを気遣うように)
「マックス様・・?いかがいたしました?」
 

054

マックス (物憂げな様子で、後半はスヴェンに気づいて顔をあげて)
「過去を知っている人物・・・ああ、スヴェン、どうした?」
 

055

スヴェン (腑に落ちない様子で丁寧に)
「いえ・・・招待客が全て揃った事をご報告に参りました」
 

056

マックス (心ここにあらずといった感じに)
「そうか・・・わかった。すぐに行く・・・」
 

057

スヴェン (心配そうに)
「マックス様・・・一体、どうなされたのですか?」
 

058

マックス (あっさりと受け流して)
「あ・・いや・・たいしたことではない・・・ただ・・・」
 

059

スヴェン (眉をひそめて)
「ただ・・?」
 

060

マックス (溜息をつきながらソファにもたれかかり、前髪を掻き上げてしなやかに)
「・・フゥ・・・・ロンズデール子爵を知っているか?」
 

061

スヴェン (困惑した様子で)
「ええ・・・先程、サロンでお見かけ致しましたが、何か?」
 

062

マックス (眉間に手をあて目を閉じて)
「・・・あのヴェルニエ伯爵の紹介だとか・・?」
 

063

スヴェン (丁寧に)
「はい。そのように伺っております」
 

064

マックス (気だるげにタイをゆるめながら、しっかりとした口調で流れるように)
「至急、ロンズデール子爵について調べて欲しい。・・・趣味・嗜好、身体特性、交友関係、学歴、健康状態、思想、生活状況・・・どんな些細な情報でも構わない。漏らさず全て私に伝えろ。必要か必要でないかは、私が判断する」
 

065

スヴェン (一瞬、眉をひそめて、すぐに頭を下げ立ち去ろうとして)
「ロンズデール子爵について・・ですか?・・・はい、かしこまりました。早速、そのように手配致します」
 

066

マックス (ソファに両手を投げ出して寄りかかり、前を向いたまま、スヴェンを呼び止めて)
「スヴェン・・・!」
 

067

スヴェン (振り返って)
「はい・・」
 

068

マックス (振り返らず前を向いたまま)
「何だか嫌な予感がする・・・」
 

069

スヴェン (心配そうにマックスに近づいて)
「やはり、何かあったのですか!」
 

070

マックス (スヴェンの言葉を遮って、目を伏せたまま、嫋やかに笑って)
「フ・・・漠然とそう感じているだけだ。たいした根拠など何もない。ただ、心の奥底から湧き上がるような、この妙な胸騒ぎを・・なぜか払拭することができない」
 

071

スヴェン (気遣うように)
「・・・マックス様・・・」
 

072

マックス (スヴェンの言葉を遮って、天井を見上げ、ゆっくりと右手を掲げて)
「長い時を重ねて、ようやく築き上げてきたものが・・・目の前で脆くも崩れ去るような・・・そんな・・ささやかな不安と既視感。・・・・全て杞憂に終わるといいのだが・・・いずれにせよ、確信に至るには、まだ足りないピースが多すぎる・・・」
 

073

スヴェン (気配を伺うように左後上方に少しだけ顔を向けて)
「・・季節外れの嵐が・・・やって来るのかもしれませんね・・」
 

074

マックス (噛み締めるようにつぶやいて)
「冬の嵐・・か・・・」
 

075

スヴェン (しっかりとマックスを見て)
「・・大丈夫です。どうかご安心を・・・何人たりとも、貴方様に触れることはおろか、貴方様の心に土足で踏み入ることも許しません・・・・全身全霊、身命を賭しても・・・」
 

076

マックス (力を抜いて、俯いたまま軽く微笑んで)
「フ・・・頼もしいな・・・。頼んだぞ、スヴェン・・・」
 

077

スヴェン (頭を深々と下げて立ち去って)
「かしこまりました」
 

078

マックス (立ち上がり、しっかりと言って、颯爽と立ち去って)
「万物は流転し何物も留まらない・・・か。それならば、流れに逆らって悪あがきしてみるまでだ・・・」
 
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